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脳に磁場を当てたら「うつ病」になった? 〜東北大学の驚きの実験〜
「うつ病って、心の問題?それとも脳の問題?」
そんな問いに一石を投じる、東北大学の最新研究が話題になっています。
2022年、東北大学大学院 生命科学研究科の研究チームは、ニホンザルを対象とした動物実験で、“脳を物理的に刺激することで、うつ病のような状態を人工的に再現する”ことに成功したのです。
🧠 研究の内容:脳の“気分中枢”を刺激
研究チームが注目したのは、**内側前頭皮質(vMFC)**と呼ばれる脳の一部。
この部位は、人間においても「気分」や「情動」に強く関係しているとされ、うつ病との関連が深いことがわかっています。
研究では、このvMFCに対して磁気刺激を与えることで、サルの脳内ネットワークを変化させ、その行動や生理反応の変化を観察しました。
🐒 サルに起きた“うつ状態”とは?
実験を受けたサルたちには、以下のような人間のうつ病に酷似した症状が見られました。
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元気がなくなる
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社交性が落ちる
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意欲がなくなる
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行動量が低下する
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ストレスホルモン(コルチゾール)の上昇
つまり、脳のごく一部を物理的に刺激するだけで、サルの気分や行動が大きく変化したということが明らかになったのです。
🔍 なぜこの研究は重要なの?
この実験結果が意味するのは、
うつ病は「心が弱いからなる」のではなく、
脳の働きや神経回路が変化した結果として自然に起こるということ。
人間にも応用可能なレベルで「うつ状態」を作り出せたことで、
今後の脳刺激療法(TMS)やサイケデリックス治療などの研究にも貢献する重要なデータとなりました。
🌀 サイケデリックスとの関連性
今回の研究結果は、サイケデリックス(幻覚剤)を用いたセラピーにも通じる重要な示唆を与えます。
たとえば…
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シロシビン(マジックマッシュルーム成分)は、**DMN(デフォルト・モード・ネットワーク)**という脳内ネットワークに働きかけて、うつ症状を和らげるとされる。
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サルのvMFCのような気分に関わる部位の再接続や再統合を促す作用があると示唆されている。
つまり、脳内ネットワークを変化させるという意味では、磁気刺激もサイケデリックスも、「気分を変える脳の鍵」を握っているという点でつながっているのです。
🙈 動物実験について考える
もちろん、サルに対する実験ということもあり、倫理的な議論も今後さらに必要です。
でも、この実験で明らかになった「脳と気分の直接的なつながり」は、人間の精神疾患の理解や治療において大きな前進とも言えます。
📝 おわりに
「脳の特定部位に刺激を与えるだけで“うつ”になる」
この事実は、脳と心の関係がいかに密接で、いかに繊細であるかを物語っています。
感情や気分は「目に見えないもの」ですが、こうして科学がそれを物理的に証明し始めている時代に私たちは生きています。
サイケデリックスや瞑想、音、香りなども、もしかすると私たちの“脳”と“心”をもっと優しく繋げてくれる手段なのかもしれません。
🔗 関連リンク
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PubMed 原著論文(英語):
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35809630/